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1月1日(月)

大崎の魅力に目を向けた4人
 デスティネーションキャンペーンでも一役  生徒がツアーを企画 鹿島台商高


 「これまで知らなかった大崎の魅力を発見できた」

 「まるごと大崎体験と名湯・鳴子温泉2日間」を企画、旅行会社とタイアップしてツアーを成功させた鹿島台商業高校の1年生4人はいう。「地域で隠れた観光素材を発見しよう」。1市6町の合併で大崎市が誕生したことが、彼女たちを大崎へ目を向けさせた。

 4人は先月、大崎市役所内で開かれた産業経済部の部内会議に招かれ、自ら企画したツアーについて発表した。4人は昨年、高校の商業研究東北大会で取り組みを発表し1位を獲得。鹿児島県で開かれた全国大会で優良校に入る健闘を見せた。発表は、全国大会で行った内容を紹介。伊藤康志市長も出席して、パソコンを使ってスクリーンに投影される写真や解説に見入った。

 ツアーは農業体験や農家レストランでの食事、鳴子の温泉を楽しむというもので、10月に開催され、仙台市内を中心に20歳代から70歳代の28人が参加。4人は、企画をする上で現地へ足を運んで調査したり、ツアーでも現場で観光客の案内もした。

 発表したのは、橋本亜紀奈さん(15)=美里町=、藤本奈美さん(16)=大崎市松山=、沖田遥さん(16)=多賀城市=、丹野美香さん(16)=利府町=。

 ツアーは、雨で予定を急きょ変更したり苦労も多かったが、「お客さんが喜ぶ姿を見ていて、努力したかいがあった」と、リーダーの橋本さんは振り返る。

 中でも、岩出山の農家レストランでの食事は好評で、「田園が見渡せる風景が、都会の人の心に響いたようだ」と、丹野さんはいう。

 ツアーの企画は、地元を見つめ直す大きな機会にもなった。「いつも見ている風景が、すてきなんだと思い直した」と藤本さん。

 大崎市は今年、JRや自治体などが県内で展開するデスティネーションキャンペーン(平成20二年10月から12月)へ向け、推進室を設置して準備に力を入れる。鹿島台商業高にも、同キャンペーンに協力を求めていて、大崎市の魅力を再発見する取り組みに参加してもらう計画だ。

 「大崎にはいっぱい魅力があるが、ツアーに組み込めなかったものもあって残念だった」と沖田さんは振り返るが、全国にどんな大崎の素材を発信できるのか、彼女たちの感性に期待が寄せられている。

【写真・全国大会で発表した「まるごと大崎体験」ツアーについて発表する四人】




大崎を全国に売り出そう  10月から12月にプレキャンペーン

 JRや自治体などが、全国に宮城の魅力を発信し、観光客の誘客を図る「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」は、来年10月から12月まで実施される。今年はプレ・キャンペーンが同じ10月から12月に実施される予定で、大崎市では商工観光課内にデスティネーション推進室を設けるなど、大崎を売り込もうと準備を進めている。

 デスティネーションキャンペーンは、JRなどが中心となり、特定地域を定めてPRを全国展開し、誘客を図ろうというものだ。

 仙台・宮城のキャンペーンでは、昨年11月に村井嘉浩知事を会長に推進協議会が結成された。県内の市町村、観光や産業団体、JRなどがメンバーに加わった。

 さらに、協議会の下部組織として、県内8地区で地域部会を発足させ、大崎地域部会は先月27日、設立総会を開いた。

 さらに各自治体も分科会を組織、大崎市は今月中に設置する予定だ。

 大崎市内では、観光地、鳴子温泉地域で取り組みが先行している。11月末にはデスティネーションキャンペーン鳴子温泉郷実行委員会(高橋宣安委員長)が発足。鳴子峡をテーマに、冬期のライトアップや、交通渋滞対策などが話題になっているという。

 一方、鳴子温泉地区内では、各地域の観光関係者や住民らが、観光資源の発見、再発見に取り組む活動を活発に展開している。鳴子峡の見直し、隣県温泉地と連携した湯治、温泉と食などがテーマになっているという。

 鬼首地区では昨年11月末、国が進める電源地域振興計画の策定委員や、地区内のホテル、観光業者、産直施設運営者ら30人ほどが地区内に集まり、ホテルで地場産品を利用した食事について考える集まりがあった。

 この日は、地元産そばを手打ちで提供したり、産直施設を運営する主婦らが、手作りの漬け物や煮物を紹介。仙台から訪れた人らから「圧倒的な支持」を受けた。

 数100人単位の宿泊客があるホテルで、地場産の農産物や加工品、山菜などを安定して確保するのは難しいが、「毎日でなくても、期間を限定するなどすれば対応できる」といった意見もあったという。

 大崎市デスティネーションキャンペーン推進室の大沼幸男プロジェクトマネージャーは「横のつながりをつくり、地域に何があるのか、どんな人がいるのか知るのが、まず大切なこと」と語る。

 プレキャンペーンや、来年の本番で取り上げるツアー商品は、デスティネーション推進協議会の中で決められ、商品化へ大崎市でも本格的な取り組みが始まるが、大沼さんは「キャンペーンを目標に動くというのでは、本質からずれていく。足元にある素材にまず光を当て、キャンペーンの後につながる活動を展開したい」という。



9月定例会へ提案へ  大崎市総合計画・基本構想案

 大崎市建設の基本的な方向を示す同市の総合計画策定は、昨年12月に学識経験者ら20人で構成される「総合計画審議会」が設置され、総合計画基本構想の調査・審議について伊藤康志市長から諮問を受け、基本構想案の策定へ向け本格的に動き出した。基本構想・基本計画の原案は5月ごろに示され、このあと、市民と意見をやり取りする「パブリックコメント」を実施する。また、今月中には「市民検討会議」の議論がまとまり、提言書が市側へ提出される予定だ。

 総合計画は、平成19年度から28年度までの10年間を計画期間とし、「基本構想」「基本計画」「実施計画」からなる。

 このうち「基本構想」案は議会の議決を受ける必要があり、9月定例会へ提案する計画だ。

 「基本計画」は前期・後期(各5年)に分け、基本構想をもとに、実施する主要な事業を示す。さらに「実施計画」で、具体的な事業について、達成目標や取り組み内容を3年単位で明示する。

 市民の視点を計画に反映させる目的で設置された「市民検討会議」は、昨年10月に設置された。委員は65人。「市民参画・行政改革」「教育・文化」「防災・安全」「産業振興」「保健・医療・福祉」など8部会を設けて議論を進めてきた。

 今月中にもこれまでの議論をまとめ、意見書を提出する。

 このほか、市民からの提言を9月中に募集し、105人から184件の意見があったほか、小・中学生を対象に大崎市の未来をテーマにした作文・絵画も募集し、合計387点の作品が寄せられた。これら市民の意見、夢を計画に生かす。

 基本構想・基本計画の原案は、審議会の議論をへて5月ごろに策定。案をインターネットなどで公開し、電子メールや書簡で市民と行政が意見を交わす「パブリックコメント」を実施する。

 さらに案を「まちづくり協議会」に示して意見を求めるほか、住民説明会の開催も予定している。

 伊藤康志市長が市議会の答弁などで、新市建設計画の見直しについて言及せざるを得ないほど、市の財政状況は厳しい環境に置かれている。同計画に盛り込まれた各事業を総合計画でどのように位置づけるのか、さまざまな議論が展開されることが予想され、新市の方向性を決める重要な1年を迎えた。




入札制度のあり方を検討 今月中に懇談会設置へ 大崎市


大崎市は、合併協議で調整を図った現在の入札制度を見直す方針で、「入札・契約制度適正化懇談会」を今月中にも設置し、有識者の意見を聞きながら作業を進める予定だ。

 大崎市が発足するにあたり、各市町でばらばらだった制度を合併協議で統一したが、課題となっている中の1つは、予定価格の公表がある。

 旧古川市や田尻町は、一定以上の事業規模で予定価格の公表を行っていたが、合併協議で他の町の例に合わせたため、大崎市になってからは行っていない。

 さらに、落札価格のほか技術面や工事実績も加えて決める総合評価制度の導入も、検討課題となっている。

 懇談会は、法律や建設業界、県職員ら5人で構成する予定で、財政課で人選を進めている。今月下旬にも委嘱状交付・第1回懇談会を開催する予定だ。

 財政課の話では、会議を5回程度開催し、報告書を5・6月ごろまでまとめて市長へ提出。報告書の意見を取り入れながら入札制度を決め、遅くても秋ごろの入札から実施したい考えだ。




地域づくり委員会設置へ
 古川中心部の行政区 大崎市地域自治組織


 大崎市で、地域自治組織「地域づくり委員会」の設立へ向けた動きが活発化している。地域づくり委員会の受け皿にふさわしい組織がなく、地域割りでも課題があり、取り組みが難しいとされていた古川地区中心部でも組織化の動きが見えてきた。一方、まったく動きを見せない地域もあり、課題も抱えている。

 中心部にある25行政区は昨年、古川地区地域づくり委員会設立検討会(会長・只野四郎中里北行政区長)を設置、地域づくり委員会の地区割りなどについて話し合いを進めてきた。

 これまでのところ、人口1万4000人あまりの25行政区を6つに分け、地域づくり委員会をつくる方向で話が進んでいる。年明けにも、組織設置が決まる地域もありそうだ。

 一方、東町や浦町、北町など中央コミュニティセンターの推進協議会を組織している地域では、具体的な動きが見られず、地元理解をどうはかるのか、行政側の課題となっている。

 また、荒雄地区では、これまで地域づくり活動を展開してきた地区振興協議会があるが、協議会と地域づくり委員会との関連について議論があり、また、西部と東部コミュニティセンターの活動地域と重なる地域があって、地域割りについても意見がまとまっておらず、話し合いが続いている。

 古川地域の周辺部では、地区振興協議会を母体に地域づくり委員会を発足させる方向となっていて、具体的な活動テーマなどを年明けからつめていく。

 市では今月中に、地域づくり委員会の代表らで組織する古川地区「まちづくり協議会」の設立総会を開きたい考えだ。




20万人都市テーマに「河合塾」 大崎市職員が自主的に研修会

 大崎市の河合堯昭副市長を塾長に、市職員有志が集まり、毎月1・2回のペースで研修会が開かれている。「河合塾」に集まったのは26人。「20万人都市構想の具現化」をテーマに、学習会を開いている。民間出身の河合副市長が進める、職員意識改革の取り組みの1つだ。

 先月半ば、本庁舎北のプレハブ庁舎に「塾生」が集まり、昨年最後の研修会が開かれた。塾生は3つのグループに分かれ、以前の研修で、塾生が列挙した具現化に必要と思われるメニューを整理しながら、構想実現へどのような手段を用いて進めるか、議論を進めた。

 ある班は、20万人都市の実現へ、効果が高く、短い時間で達成できるものは何か考えた結果、「移住者の受け入れ」に焦点をしぼることにした。

 さらに、移住者を受け入れるには、行政側が総合的な相談窓口を用意する必要があるという意見でまとまり、次回の塾のプレゼンテーションでは、観光面の機能も併せもったインフォメーションセンターの設置を提案するという。

 「市域が拡大して、合併したほかの旧市・町のことをよく知らない。いろいろな職員と情報を交換したくて塾に参加した」と、ある男性職員(45)。課長クラスから20歳代の若手まで参加しているが「けっこう自由に、話し合っていますよ」という。

 「20万人都市の実現は、実際は厳しいと思うし、この取り組みで市がどのように変わっていくのかも実際はよくわからない。でも、テーマを決めて議論を進めていくことで、今まで以上に自分を向上させることができる気がする」と語る。

 松山総合支所から参加している男性職員(35)は、塾を通じて「これから行政のあり方を見つけたい」という。「行政が何でもするのではなく、市民との協力関係が重要になってくる」。そんな意識を強くしているともいう。

 企業情報を提供する民間会社に勤務し、さまざまな会社組織を見てきた河合副市長の職員評価は「優秀な人は多いが、十分に力を発揮していない」「評論家、傍観者はいるが、参加者が少ない」ということ。「これに風穴を開ける」のが、塾を開いた大きな目的という。

 「20万人都市」をテーマにしたのは、「人口を今より6万人増やすには、産業振興や住環境の整備など総合的に考えなければならない。縦割りから横断的な行政へ職員を巻き込んでいく狙いがあった」。

 「自ら動いてくれる職員が、これからは必要。リーダーが引っ張るSL型ではなく、それぞれ車両がモーターを持って走る新幹線のように、リーダーといっしょに走る組織でなければ、やっていけない」と河合副市長。「職員の中には、行動に移れないもどかしさを感じていた人もいたと思う。風穴を開ければ、大きな風が吹くと思うんです」。

 5回にわたる塾生たちの議論の成果は、今月6日に開く塾で行われるプレゼンテーションで、1つの成果を出す。


【写真・職員の議論を見守る河合副市長(右)】




70・4%が就職内定
 前年より12・1ポイント増 大崎地方の新規高卒者


 大崎地方の新規高卒者の就職内定率は、昨年11月末現在で70・4%で、前年と比較し12・1ポイント上がった。

 製造業を中心に景気が上向いていることや、団塊の世代の大量離職をひかえ、新規高卒者の採用が増える傾向が前年より強まっている。

 また、これまで生産ラインの請け負いでコストダウンを図ってきた電子部品製造業でも、新規高卒者を募集して人材確保を図るケースも増えてきている。

 また、ハローワーク古川によると、社員の年齢構成のバランスを考え、数年ぶりに新規採用を決める企業も出ているという。

 11月末現在で、大崎地方の高校で就職を希望している高校3年生は903人。このうち636人が内定を得た。内定者は、前年より62人増。

 今年は女子の内定が上向いているのが特徴。71・06%となっていて、男子の69・85%を上回っている。

 全体の約半数、467人が大崎地方での就職を希望しているが、このうち321人(68・74%)が内定。

 ハローワーク古川は、2月に合同就職面接会を大崎市古川で開催する予定で、採用が減っている卸・小売業などを中心に求人開拓をさらに進めて、前年を上回る内定率を目指したい考えだ。




並柳福浦線 国道108号交差点を改良
 市役所へのアクセスが容易に


 大崎市古川の都市計画道路・並柳福浦線の整備事業は、市役所本庁舎北の国道108号との交差点改良工事が始まる。

 並柳福浦線の整備計画は、北稲葉から江合寿町1丁目までの2670メートルを整備する。

 このうち、今回整備する交差点は、地権者との用地交渉や安全確保の問題などで話し合いが続いたため工事が遅れた。市役所から北側へ道路を延ばす工事は国道まで達していたため、市は暫定的に共用をスタートさせていた。

 今回整備するのは、140メートルの長さの区間で、幅員は12十二メートル、交差点付近は15メートル。事業費は約5000万円。一方、国道側も、右折レーン設置のため改良工事が行われる。

 工事は年度内の完成を目指している。国道108号から市役所まで直接タッチするルートだけに、市民の利便性が高まるものと期待されており、市民病院本院・救命救急センターへのアクセスもより容易になる。

 市都市計画課では、工事前に地元説明会を開き、安全に配慮して工事を進める考えだ。
 
【写真・交差点の改良工事が始まる国道108号交差点】




=コラム=
 1人1人がホスト意識を


 大崎市役所の本庁舎は、古川の中心部を通る道路をはさんで分散している。記者室のある西庁舎から東庁舎へ取材に向かおうとすれば、交差点で必ず、横断歩道を渡らなければならないのだが、どうも、このあたりのドライバーって、歩行者にさほど注意を払っていないんじゃないかと思うことがよくあり、ずっと気になっている。

 歩道側の青信号に誘われて何気なく歩き出すと、勢い良く向かってくる右・左折車にびっくりしたりする。「早く渡れ」と言わんばかりの表情をしたおじさんや、歩行者が歩いているすぐわきを、すり抜けるように飛ばしていく若いおねえさんと遭遇するのは、少しも珍しくないのだ。

 だから、しっかり車の動きに注意し、ドライバーと目を合わせて、ちゃんとこっちを見ているか確認しないと、おっかなくて渡れない。この傾向は、東庁舎前の交差点ばかりではない。学生時代を東京で過ごしたのだが、あっちじゃあ、こんなことはなかったなぁ。

 さて、JRや自治体などが一体となり、宮城の魅力を全国に発信しようというデスティネーションキャンペーン(平成20年度実施)は、今年はプレイベントが11月から12月に実施される。

 大崎市も、商工観光課内に推進室を設け、大崎の魅力を体感してほしいと、地域や民間といっしょになって準備を進めている。この秋から冬は、大崎を訪れる観光客が増えるに違いない。

 キャンペーンを成功させ、リピーター増につなげるには、観光素材の発掘もさることながら、地域に住む人たちの人間性によるところが大きいのではあるまいか。道をたずねても知らんふりをする人がいては、まず2度と大崎に来てもらえまい。

 旅先で受けた親切が忘れられない、という人も多かろう。ちょっとした心配りこそ最高のもてなしであるはずで、市民1人1人がホスト意識を持つことがキャンペーン成功のポイントかもしれない。

 だから、横断歩道を渡る歩行者に優しくないドライバーの多いことが、ちょと気になるのだ(などと立派なことを書く資格があるのかと、あらためて自分の運転を振り返る…)。